SEC委員長はトークン化の未来を見る
The SEC Chairman Sees A Tokenized Future

ビットコインが次代の世界準備通貨になるという私の強気な展望については誰もがよく知るところだろう。現状、サウンドマネーの原則をデジタルに応用することで、世界の難しい経済的問題の多くが解決できるように思われる。しかし私は多くの人が考えているようなビットコイン過激派ではない。
私はこれからの10年から20年ほどの間に様々なデジタル技術のイノベーションが起こると信じている。イノベーションはデジタルアートの世界でも起こり、アナログなアートからデジタルなアートへの劇的な移行が起こると予測している。ビットコインが価値貯蔵手段としてゴールドよりも優れているように、デジタルアートはアナログアートよりも優れていると信じている。どのブロックチェーン上でこれが起こるかということは市場が議論することであるから、ここで私が持論を展開することは避けたい。
トークン化も私が長年強気に主張してきたイノベーションの一つである。恐らく読者のあなたは、私が「全ての株、債券、通貨、コモディティはトークン化される」と主張するのを聞いたことがあるだろう。この真言は様々なアイデアに共通するが、核となる考えは、資産と市場参加者は変化せず、テクノロジーの形態が改善するというものである。
私は以前以下の枠組みを使ってこのアイデアを説明した。

証券のアナログ時代(The Analog Age of Securities)は物理的資産(株券、抵当など)を必要とした。証券の電子時代(The Electronic Age of Securities)は集権型カストディ(例:DTCC)にある物理的資産の代わりとなる電子CUSIPを必要とした。電子CUSIPは集権型データベースから集権型データベースへと動き回り、また冗長で非効率的な決済手続きを必要とした。
今私たちがいるのは証券のデジタル時代(The Digital Age of Securities)である。これはまだごくごく初期の段階である。しかし、その兆候は既に見え始めている。市場参加者がトークン化された株、債券、通貨、コモディティを取引するという未来は当然の帰結に思われる。デジタル技術は優れている。低コスト、高速、高効率の取引が可能になる。デジタル資産により金融システムは幅広い層の参加者に対して開かれるのである。
そして最近、政府当局も私が話してきたのと同じ未来を見始めているようである。The BlockのYogita Khatriによると以下のようである。
「金曜日、the Chamber of Digital Commerce主催で開かれたウェブセミナーで、クレイトン(Clayton)は20年前と比べて全ての株取引は現在電子的だと語った。過去には株券があったが、現在は株を表すデジタルエントリーがある。「その全てがトークン化される可能性は充分にある」とクレイトンは言った。
「米貨幣の二側面:デジタル資産の革新と規制」と題されたこのウェブセミナーは、ブロックチェーンと暗号通貨の世界の成長に何が必要かということを中心に行われた。通貨監督庁(OCC)で現通貨監督官を務めるブライアン・ブルックス(Brian Brooks)も参加した。
クレイトンとブルックスはいずれも暗号通貨界でのイノベーションは歓迎するが、当然規制の枠組みが必要だとした。」
ジェイ・クレイトン(Jay Clayton)とブライアン・ブルックスがこの話に注目しているということは重要だ。両人が反ビットコインや反暗号通貨ではないということを明らかにするからである。彼らはイノベーションや積極的影響の可能性を感じている。彼らは既存の法的枠組みに沿った完成品を見たいようだ。
ここでこの展開に対する私のお気に入りの展望について話そう。私は、最終的にSECが全ての企業と従来の取引所に市場で取引される証券のトークン化を義務付けることになると信じている。こうすることで規制当局は証券法の実施において先回りすることが出来、莫大な時間、カネ、エネルギーの節約に繋がる。
二人の投資家が規則を破るようなことをし、それからSECに立件してもらい、法を実施してもらうということは非効率でまたコストがかかることである。この証券のデジタル時代において、法はプログラムに組み込まれることで、特定の行為が未然に防がれるようになる。私がいつも使う簡単な例は以下のようである。
全ての投資家のデジタルウォレットには関連する特定の情報が記載される。(適格投資家か。どの土地に住んでいるか。何を所持することを許され、また許されていないか。)
全ての資産や証券にはトークンに特定の情報が組み込まれる。(誰が資産を発行したか。適格投資家のみ利用可能か。非適格投資家はどうか。特定の土地で取引することができないか。個人の所有量に限度はあるか。)
投資家が資産を買いたいもしくは売りたいと思ったとき、プログラムは瞬時に取引が規制要項の全てを満たしているかということを確認する。これにより違法もしくは軽率な取引が未然に防がれ、市場にとってより効率的なシステムの構築を促す。
この展望の実現のために重要な点はデジタル資産への移行を義務付けることで規制当局は実際により安全で効率的な市場を形成することが出来るというところである。ほとんどの人は規制当局がこのようなことを義務付ける力を持っているのかと疑問に思うことだろうが、彼らは過去に似たようなことをやっている。彼らはEdgarデータベースの使用を義務付け、またXML技術の導入も義務付けた。デジタル資産の将来的な実装を義務付けるということとの違いはほとんどない。全ての資産は依然として同じ株、債券、通貨、コモディティであり、全ての市場参加者も同じ者である。ただ資産が新しい技術形態を得るだけなのである。
ではこのような世界を作るにあたっての障壁はなんだろうか。
障壁のうち簡単なものは時間で、難しいものは技術である。私たちが今日話しているような革新的な技術を作るには膨大な時間が必要だ。充分な資金を持ち、何年もかけて世界規模で機能するシステムを作る、頭の良い人が必要だ。何兆ドルもの取引を扱うのであれば、全てが準備できていて、適切に動作しているべきである。
技術的障壁は意見の分かれるところであろう。誰しも自身のブロックチェーンが勝者になると信じるような経済的インセンティブを持っている。私が尋ねられれば、私がなぜ最もセキュアなブロックチェーン(ビットコイン)が最終的にあらゆる資産を取引する場所になると信じているかを説明する。イーサリアム信者に尋ねれば、その人はDeFiのことなどについて様々な説明をするだろう。また別のブロックチェーンに取り組んでいる人に尋ねれば、その人の信じる何かしらの技術的コンポーネントや利点について熱弁するだろう。
最終的にはどのような個人の意見も無意味である。市場が勝者を決めるのである。将来の勝者について意見が分かれているということそのものが正に市場が作られる方法である。いくらかの人は正しくいくらかの人は間違う。いくらかの人は巨額の富を得る。そうでないものは富を失う。これは技術的革新があった時何度も何度も起きてきた自然なサイクルである。
「どこでそれが起こるのか」という議論はいつまでも続くが、明らかなことが一つある。全ての株、債券、通貨、コモディティがいずれトークン化されるということである。私を信じないって?恐らくあなたはポートフォリオ企業のFigure Technologiesによってここ10年で最大のHELOCに裏付けられた債券がブロックチェーン上で決済されたことを知らないのだろう。
「マイク・キャグニー(Mike Cagney)のブロックチェーン貸付スタートアップ企業のFigure Technologiesは10年前の米住宅ローン崩壊以後最大の、ホーム・エクイティ・ライン・オブ・クレジットに裏付けられた債券に担保を提供した。
3億800万ドルの非格付け証券化はオルタナティブ不動産金融企業のSaluda Gradeに資金提供を受け、今週初め頃に価格が決定された。今回の売り出しはFigure社が組成したローンの二回目の証券化であり、資産に裏付けされた証券化として初めてブロックチェーン上で全行程が完了されたものの一つである。今回の取引を裏付けるHELOCローンはFigure関連のブロックチェーン、Provenance上で組成、サービス、資金調達、販売が行われた。非銀行貸付者のFigureは2018年の設立以来10億ドル以上のHELOCを組成し、従来の大銀行が経費削減をする中、更なる需要を予想している。」
これが当たり前になるのは時間の問題だ。規制当局も公にこのことについて話し始めている。
-Pomp-
OffTheChainジャパン
翻訳者ペンネーム:Decryptor