一年前、大変なことが起こった。2020年3月12日は金融投資家が忘れることのない日になるだろう。ビットコインが一日で50%以上暴落した日だ。その他全ての資産も大暴落した。
数時間ごとにブレーカーが落ちているようだった。投資家は恐怖に飲まれていた。彼らはポートフォリオに組み込んでいる全ての流動性資産を充分な速さで売ることが出来なかった。パンデミックが全速力でぶつかった後のことだ。NBAは活動停止に追い込まれた。世界中の国々でロックダウンが施行されていた。S&P 500は取引が開始された瞬間に7%下落した。ダウジョーンズは8%以上下落した。石油やゴールドも同じような運命に翻弄された。
それは酷かった。
しかし全員が怖れを抱いていたわけではなかった。この流動性危機は投資家の心理と市場の相互作用について理解している者にとってはむしろ明らかなことだった。3月12日の朝、私は「流動性危機は金融刺激策を促し、その結果としてサウンドマネーの特性を受容することが迫られる」と題したニュースレターを記した。
私はニュースレター冒頭で以下のように述べた。
「歴史が展開している。将来、今金融市場で起きている出来事について書かれた書籍が発行されるだろう。毎日が一ヶ月のように感じられる。恐怖とパニックがほとんどの人の心を支配している。しかし今週既に述べたように、人生におけるほとんどの物事と同じように、これもいつまでも続くわけではない。」
次に、当時起きていた出来事について投資家が考えられるよう、簡単なフレームワークを提示した。
世界保健機関は公式にCOVID-19をパンデミックと認定した。ソーシャルディスタンシング、規模の大きい集会や様々な形式の経済活動の停止などが対応策として要請される。
コロナウィルスは世界中の経済を停止に追い込む。
経済が減退するとき、過剰なレバレッジや流動性の欠如など、市場の構造的欠陥が露呈する。
当時起ころうとしていた出来事に対する準備をするために投資家が必要としていたものは流動性危機の認識だった。恐怖を覚えた人もいた。しかし恐怖とは心理的な概念であり、流動性危機とは市場の構造に恐怖が現れたものである。私は以下のように続けた。
「残念だが、流動性危機はリアルタイムで展開している。このような流動性問題は構造的にはよく理解されているが、現実に発生すると予想よりもずっと酷く感じるものである。流動性危機とは投資家が一斉に出口に向かって走っているようなものだが、買い手よりも売り手があまりにも多いために、資産を手放して現金に換えることが難しくなっている状態のことだ。全く文字通りに、投資家は現在必死になって求めている現金と引き換えに、各資産における受け容れ可能な価格を大幅に引き下げ始めるのである。
これが流動性市場のあらゆる資産がこれほどの大暴落を起こしているわけである。」
更なる注目を必要としているというような印象を与えながら、私は2008年の金融危機でゴールドに何が起こったのかを説明した。
「2008年の世界的な金融危機で、ゴールドの価格は30%以上下落し、本当の苦痛を引き起こす深みへと到達した。これはゴールドが価値の保存手段として粗悪であるとか、5000年経った今、安全資産としてのステータスを失ったということでもない。それはゴールドの市場が流動的だからであり、投資家が何よりも流動性を必要としていたからである。」
「ゴールドは、6ヶ月間の流動性危機で30%下落したにも関わらず、2006年のおよそ650ドルから2011年の1800ドル以上まで騰貴した。なぜか。それは、米国がデフォルトするとか、米国の金融政策が下策であるとか、インフレ率が上昇するなどという怖れに際してゴールドが必要とされたからである。簡単に言うと、ゴールドは危機全体を通してみると価値の保存手段や安全資産としての役割を果たしたが、最悪の6ヶ月間においては流動性危機に屈したということである。」
では流動性危機でビットコインに実際に何が起こったのか見てみよう。端的に言って、その他全ての資産と同じように大暴落した。
違いは、ビットコインがよりボラティリティの高い資産だということである。そのため、他の資産が15%から30%下落する中、ビットコインは50%下落した。私がいつも言っているように、ボラティリティは内在的に悪いものではない。それは自分に都合が良い時には良いものであり、自分に都合が悪い時には良くないものである。ロングをしている時には、価格のボラティリティが上昇することが必要だ。2020年3月12日の一週間はビットコインの保有者にとってボラティリティが良くない期間だった。
しかしここに面白い話がある。ビットコインのチャートを縮小して、流動性危機の一年ほど前から現在までを眺めてみると、50%の下落はほとんど見えないのである。
私たちがこのニュースレターで何度も議論しているように、長期保有者は勇気のない短期トレーダーに対して大きな優位性を持っている。人間は感情的だ。私たちは恐怖や欲望に屈する。しかし、自分の投資命題に強い信念を持ち、短期的な価格動向に意思決定が左右されないようにすれば、長期的にはそこそこ良い結果を出せるものである。
私の一番好きな分析方法は、様々な資産の経済的リターン、ボラティリティ、複利成長、シャープ・レシオを包括的に比較することである。
casebitcoin.comの人たちはビットコインがどれほど魅力的な資産になったかということを強調する。最後に、過去数年間にわたって考慮されてきた、安全資産としてのステータスについても忘れてはいけない。重要な疑問点は、市場の低迷期にビットコインに何が起こるのか、ビットコインは生き残るのか、盛り上がるのか、といったことだった。
私たちはついにその答えを手にした。ビットコインは市場が混迷、混乱している時に保有することが出来る資産として単独で最高のものだった。リターン、シャープ・レシオ、ポートフォリオにおける全体的なリスクの軽減幅は傑出していた。振り返ってみるとクレイジーな話だ。
ビットコイン支持派が仕事を熟している。彼らはビットコインとその市場を理解している。ビットコインの優位性という結論は熱狂的な信者のそれではなく、全ての選択肢に対する深い分析の結果である。その分析が正確なことが明らかになってきている。それは何年も前に別の結論に達した者にとってはいらだたしいことだろう。しかし全てが終わったわけではない。ビットコインはまだ始まったばかりだろう。いつか私たちが今どの時点にいるかわかる日が来るだろう。
良い一週間を。また明日。
スポンサー:先週、アート市場が—ビジネススクールで言われるように—おかしくなったと聞いたかも知れない。Christie’sが熱狂を利用して、jpegの画像ファイル、おっと、デジタルアートに6930万ドルで最高記録を更新した。ここから得られる重要なことは、アートへの投資がメインストリームに届いたということだ。しかし、もしあなたが少しでも私たちのような人間であるなら、ブルーチップアーティストによる本物の、実物のアートにお金をかけることの方がよほど理解できるだろう。
一つには、Masterworksのデータによると、1995年から2020年にかけて、現代アートの価格がS&Pを152%上回ったことが挙げられる。Masterworksはバスキア、カウズ、ヘリングといったアーティストの絵画にあなたが投資することが出来る最初のプラットフォームだ。しかしリターンについてはどうだろうか。Masterworksはリターンも良い。彼らは最近バンクシーによる絵画を初めて売買し、年換算で32%の素晴らしいリターンを上げている。
このような結果があると25000人がキャンセル待ちリストに載っていることは不思議でもない。私の特別なリンクを使えば上手く行く。
-Pomp-
OffTheChainジャパン
翻訳者ペンネーム:Decryptor