オンチェーンの指標は、ビットコインが圧縮されたバネのようになっていて、大きく跳ね上がろうとしていることを示している。
On-Chain Metrics Show Bitcoin Is Coiling Like A Spring And Ready To Rip Higher
本日のニュースレターは私見ではトップクラスのビットコインアナリストとなったウィル・クレメンテ(Will Clemente)による。彼は最近自身の無料メールマガジンを開始した。私はこれを購読することを強く勧める。ここをクリックしてウィルのメールマガジンを毎週受け取ろう。
また、彼は私たちがこれから新しく土曜に配信するポッドキャストのエピソードに毎週参加してくれる。このポッドキャストでは毎週のオンチェーン指標を概観していく。ウィルは頭が良く、勤勉で、未来の明るい人だ。彼の取り組みをあなたがサポートしてくれれば願ったり叶ったりである。
皆さんが素晴らしい一週間を過ごしていると幸いだ。執筆時点で(5月6日東部標準時7:30)ビットコインの価格は低調な一週間を過ぎて56,000ドル強となっている。価格はこの一週で5.28%高騰した。最高値は58,986ドル、最安値は52,913ドルだった。では、現在展開しているオンチェーンのトレンドを見ていこう。
注目に値する大まかな傾向
まず初めに、このサイクルが過熱していないということを示す、大まかなマクロトレンドをいくつか見ていこう。絶頂期の推定に関して特に正確性が高い指標の一つはMVRV Z-scoreである。MVRVはデービッド・プール(David Puell)とムラド・マームドフ(Murad Mahmudov)が作成したものだが、MVRVにzスコアを適用するというアイデアはon-wonder(訳者注:on-wonderと書かれていますが、少し調べてみると、aweandwonderという人がMVRV Z-scoreを作成したらしいことがわかったので、恐らくaweandwonder氏のことだと思います)というアナリストによるものだ。この指標はビットコインの時価総額とその実現時価総額の比を取る。実現時価総額はコインが最後に移動された時点に基づいた時価総額として考えることが出来る。例えば、価格が1ドルのBTCを100,000ドル分購入し、一度も移動させなかったとすると、56億ドルの時価総額(100,000×56000)ではなく、100,000ドルが実現時価総額に加算される。価格はマージン取引で成り立っていることを思い出して欲しい。実現時価総額に対する時価総額の比を取った後、この指標にzスコアが適用される。zスコアを適用するとは、ボラティリティに対して補正するということだ。これはより精確に状況を表すことが出来る。
チャートを見ると分かるように、この指標は明らかなピークのサイクル(赤いゾーン)を示し、それに加え、弱気市場の間にはとても有利な買いゾーン(緑のゾーン)をはっきりと示している。サイクルの絶頂期に見られる針のようなピークとは違い、この指標は過去数週間で低下してきている。従ってこれには更なる上昇の余地がある。これは時価総額が低下していることと部分的には関連しているが、より重要な関連性があるのは、4月の初旬以降実現時価総額が43,545,000ドル高騰していることである。これは強気な傾向である。つまり、コインがこのような高水準の価格帯で持続的に推移しているために、ビットコインの価格がこのような水準での妥当性を検証されてきているということである。これは、BTCのマネーサプライの内15.63%が1兆ドルの時価総額の境界を超えていることから、オンチェーンのボリュームにも裏付けられている。
今週私が触れたい二つ目のマクロ指標は、market cap-thermocapである。この指標は、ネットワークによって生成され、マイナーに経時的に与えられる全収益の合計を表すthermocapに対する時価総額の比を取る。Glassnodeによると、この指標は「資産の価格がマイナーが費やした担保の合計と比較して割り増し価格で取引されているかどうかを査定することに使える」という。MVRVと同じように、この指標はサイクルの絶頂期に明確な針のようなピークと、弱気市場の間の買い集めをするのに適したゾーンを示す。この指標も落ち着いてきていることが分かる。これは、MVRVに加え、過熱するまでに現在の強気な上昇がしばらく続くことを表している。
今週の展開
今週注目すべきものの内の一つは、ステーブルコインの発行である。過去10日間だけでも、6,688,804,340ドルのテザーとUSDCが発行された。現在でおよそ300億ドルのステーブルコインが50,000ドル以上で発行されてきた。これは暗号通貨に参入している投資家の新規の需要が大きいことを表している。この資本の内、実際にどれだけがBTCを買うかは不明だが、少なくともかなりの割合にはなる。
補足すると、この資本のうちいくらかが他の暗号通貨に向かうことは否定できない。ほとんどの取引所の預かり残高が低下する傾向にはあるが、バイナンスの預かり残高は上昇し続けている。私見ではこれは非常に投機的なアルトコインに流入している資本を可視化する良い方法であると思う。バイナンスはコインベースのようなほとんどの取引所と比べると規制が緩いため、数多くの暗号通貨を提供でき、それらからデリバティブが作られている。この増加はまた、東洋からより多くの売りが行われていることを示している可能性がある。しかし、私はこの両方の要素が組み合わさっているのではないかと思っている。先週を通して、最近の売りの内、少なくともある程度が、利益を得るために手持ちのBTCを投機的なアルトコインに換えているトレーダーによるものであると推測することが出来る。
さて、ステーブルコインの発行が増加していることを示したところで、読者のあなたは「それはいい話だ。でも一体誰が売っているんだ?」という疑問を持っていることだろう。アルトコインに投機するために暗号通貨を交換しているトレーダーに追加して、若いコインが答になる。つまり、経験不足の市場参加者である。これを特定する方法の一つは、Average Spent Output Lifespanを見ることである。2月以降、この指標は低下してきた。これは、古いコインに掛かる売り圧力が低下したということだ。これはテスラが15億ドルの買いを発表した時と一致している。そこに因果関係はあるだろうか。それは自分自身で考えるべきことだが、私はそうでないかと思っている。
新規の参加者が売っているということに関して、売りのサイクルが最近最高値に達した。これは1週間から1ヶ月の古さのコインが原因となっている。
また、今週火曜日、1ヶ月から3ヶ月の古さのコインを原因とする売りが爆発した。これは興味深い。なぜなら、今週の最安値を記録した日と一致しているからだ。
この1ヶ月から3ヶ月の古さのコインの爆発的な売りは、火曜日東部標準時午前8時に複数の取引所に移動された3,774BTC(当時2億1100万ドル)とも一致している。もしかするとこれは関連した出来事だったのかも知れない。しかし、流入の後に価格が3,000ドル下落したため、このビットコインの一群は急落に関連しているのではないかと思っている。
しかし、確かなことが一つある。マイナーは売っていないということだ。これは、全てのマイナーのウォレットの残高を追跡する以下の指標によって示される。
マイナーは売っていないだけでなく、むしろ買い集めているのである。マイナーの合計ポジション変化の指標は既に一ヶ月以上緑になっている。
まとめると、ビットコインは保合し続け、バネのように圧縮されているということだ。短期保有者は古い市場参加者に売り続けている。統計的に売る見込みが非常に低い存在にコインが動いて行くという現象は続いている。
更に、マクロ指標によって保合は中間頃にあり、このような価格水準で巨大な資本のベースが積み上がっていることが示されている。市場の絶頂期の信号は一切灯っていない。保持し続けよう。また月曜日に会おう。良い週末を。
それでは。
-Will
-Pomp-
OffTheChainジャパン
翻訳者ペンネーム:Decryptor