以下は毎週恒例の、ビットコインアナリスト、ウィル・クレメンテ(Will Clemente)による、オンチェーン指標を用いてビットコインの状況を解説する記事である。楽しんでくれると幸いだ。
良い金曜日だね。素晴らしい一週間を過ごせたかい。執筆時点でビットコインの価格は53600ドル強だ。先週、各指標によるとビットコインの価格が底をついたか、後数日で底をつく見通しであることを確認した。前回のニュースレターが送信された二日後の日曜日に価格は局所的な底をつき、オンチェーンの重要なサポートゾーン、47000ドルラインに再度接近し、その後大きく跳ね上がった。それではオンチェーンのデータ構造における最新の展開を確認し、市場参加者の動向について理解を深めていこう。
レバレッジの消滅/価格調整の再確認
先週を通してビットコインのデリバティブ市場からレバレッジが完全に消滅した。(水曜日にポンプと私が公開したポッドキャストでも話し合ったことだ。)二週間前の過去最高価格以降、先物建玉は全ての主要な取引所で合計8912806107ドル減少した。
更に、資金調達率も大きく減少した。資金調達率は無期限スワップをビットコインのスポット価格を結び付けるために使用される。無期限スワップは、期限のない先物契約であるため、ビットコインに特有のものだ。このような契約には容易にレバレッジが掛けられるため、投機トレーダーには非常に魅力的に映る。このような契約がビットコインの価格と結びつけられるのは資金調達率による。トレーダーの大半がロングになると資金調達率が上昇するが、これはトレードの反対側を取るために買い手が売り手に支払っているということだ。これと逆のことも起こり得る。つまり、資金調達率が負の時は、売り手が買い手に支払っているということになる。先週のニュースレターで資金調達率が負になろうとしているのは買いの合図だということを話した。興味深いことに、日曜日に底値をついて以降、価格が高騰する中、資金調達率は低い値を保ってきた。これはこの騰貴が投機家ではなくスポット市場によって引き起こされている可能性が高いということだ。別な言い方をすると、この騰貴は自然なスポット購入が理由になっているということであって、これは非常に健全なことである。これはオンチェーンで見られる巨大なステーブルコインのフローにも裏付けられている。
今回の急落は、レバレッジの消滅だけでなく別な理由からも市場にとって健全なことだった。コインが資金力のないトレーダーから資金力のあるトレーダーの手に移されたということだ。これは売られているコインの古さを示す指標を用いて説明することが出来る。このような指標は、若いコイン、つまり、新規の市場参加者が売っていることを表すパターンを示した。これは長期的に保有している市場参加者が下落を通して我慢強く保有し続け、買い集め続けているためだ。
このことを示す指標の一つはdormancyである。簡単に言うと、古いコインはより大きいdormancyを持ち、それらが売られると、dormancyが上昇するということである。今回の価格低下を通して、dormancyは低下した。これは、古いコインが売られておらず、ビットコインの強気市場における大きな価格調整に慣れている経験豊富な市場参加者が我慢強かったということだ。
これを可視化する別の指標は、GlassnodeのSpent Output Age Band指標である。これは古さでコインを群に分け、これら群を互いに積み上げることで、どのようなタイプの市場参加者が売りを引き起こしているのかを説明する。今回の価格低下を通して、若い群は大きく上昇したものの、古い群には大きな変化は見られなかった。この点で、今回の売却は、資金力の豊富なトレーダーにコインが移動したことから、強気であったと言える。
また、今回の急落を通して採掘者が下落を利用して安いコインを拾い上げ、大きく買い集めを進めたことがわかる。
急落に関して最後になるが、ハッシュレートが大きく回復し、ビットコインネットワークのレジリエンスを見せつけた。
広範な指標
ビットコインのサプライは日ごとに売却の記録を持たない投資家の手中に収まりつつある。これはGlassnodeの流動性サプライ指標を用いて示すことが出来る。Glassnodeはブロックチェーン捜査を利用してアドレスを群に分け、様々な存在を特定する。そうすることで、これらの存在の売り動向を評価し、非常に流動的、流動的、非流動的という3つの群に分けることが出来る。去年3月の流動性危機以降、コインが非流動的になるという強い傾向があり、これは売却の記録を持たない長期保有者がコインを買い集めているということを意味する。
実際、ビットコインのサプライの内78.3%がGlassnodeによって非流動的だと見なされている。これは、この資産の誕生以降安定的に増加してきた数字である。
今週紹介したい最後の指標は、URPD(UTXO Realized Price Distribution)である。この指標は様々な価格水準でのオンチェーンのボリュームを特定する。時価総額1兆ドルの境界を超えて騰貴した後、(現在53500ドルだがサプライが伸びるに連れて増加している)ビットコインのマネーサプライのうち14%以上がこのような水準で動いてきた。これは正当なマクロ資産としてBTCが強力に検証されてきていること、消えてなくなることはないということを示している。これは去年の11000ドル以降で最も強力なボリュームゾーンでもある。
役に立つと幸いだ。楽しんで。
ウィルをツイッターでフォローすることが出来る。こちらから
-Pomp-
OffTheChainジャパン
翻訳者ペンネーム:Decryptor