資産管理企業の未来
資産管理ビジネスは急速に進化している。私は、何がこの変化をもたらしているのか、どのように市場に影響を及ぼすのか、そして、未来の資産管理企業がどうなっているのかというとこについてよく考えている。このことについて誰も明確な答を持たないが、以下に、特に考えていることが多い事項を記してみよう。
デジタルなブラックストーン(Blackstone):マルチ・ストラテジー戦略を採用する資産管理ビジネスは資産配分をする者によく理解されている。これからの企業はやはり株、債券、通貨、コモディティに投資をするだろう。しかし、電子的CUSIPやアナログな形式ではなく、デジタルな形式になっているだろう。このようなデジタルな株、デジタルな債券、デジタルな通貨、デジタルなコモディティは短期的にはアルファを創出する機会を生むだろう。しかし、このアルファは競争とビジネスのコモディティ化に長い時間をかけてゆっくりと侵食されていくだろう。
料金圧縮(Fee compression):資産管理企業に投資する機関投資家は酷い料金体系にとても敏感である。彼らは利用されているように感じたり、もっと悪いケースでは、投資者と管理者の間でインセンティブが対等になっていないと感じることさえある。これについてまわる料金圧縮はこれまでと同じようにこれからも継続し、その結果、平均以下のファンドや管理者にプレッシャーがかかる。
新しいビジネスモデル:新しい投資戦略と合わせて料金圧縮を得た時はいつでも、新しいビジネスモデルが登場する機会がある。料金が請求される方法に関してイノベーションがあったとしても驚くべき事ではないし、いくつかの資産管理企業がサブスクリプションベースのモデルやその他の新しいモデルを採用したとして、このことに驚く人がいるとは思われない。
革新的な企業構造:現在最も不透明な領域はここだ。しかし私はここが最も大きな上昇傾向を持っている領域でもあると見ている。資産管理者が完全に自動化された企業を起こすことを試みるにしろ、完全なリモートチーム制を採用するにしろ、長期的には資産管理企業の内部構造が変化していくことは明らかだ。効果的な機械学習と人工知能の追加に加えて、人の働き方の変化は、従来の方法と異なった方法を選ぶにあたって、独特の機会をもたらす。
効率的な世界展開:従来の金融システムでは最大手の資産管理企業のみが世界的な展開をすることができる。以前は、多数の従業員を雇用し、海外支社を設置し、多数の法体制に従うために、財源が必要だった。資産管理企業は、一日目から国際的な企業となり、その結果、巨大な資産管理企業を設立するために必要な資産と人員の量を大きく減らすことにつながるだろう。
これらのアイデアは画期的ではない。正直に言うと、多くの人々がこのことについて私よりもよく考えてきた。しかし、暗号業界の勃興により、これらのアイデアは実を結びやすくなったと言える。これは以下の二つの理由による。
デジタルな資産はほとんどの従来の資産管理企業に誤解されている。彼らは小さい、比較的重要でないように映る現在のこの業界に構うにはあまりにも上手くいっているのだ。彼らのこの興味のなさは挑戦者にとってまたとない機会である。
デジタルな資産のフォームファクターは自動化ととても相性がいい。自動化は、現状、その他の企業が達成することのできないレベルの効率化を生む。支出と構造において大きなアドバンテージを持つ企業を設立することができる場合は、必ずビジネスモデルを革新することができる。このイノベーションは大手企業にプレッシャーを与え、大手に対応、もしくはその体制の崩壊を迫る。
さて、はっきりさせたいのは、私は、新しい資産管理企業がブラックストーン、オークツリー(Oaktree)、タイガー・グローバル(Tiger Global)を明日崩壊させると主張しているのではないということだ。私が主張しているのは、これからの30年間、私たちが目の当たりにすることになるディスラプションの程度は、現在、概ね予想されていないということだ。これほど長期に渡った予測をする理由は単純だ。世代を決定付ける企業の設立には長い時間がかかるからである。
今はまだ金融の革命のごく最初期である。資産がデジタル化されることで、それら資産がどのように購入され、売却され、所持されるかということに加え、資産を扱うことができる人々は大きく増える。前述したように、誰も明確な答は持たない。しかし、私は、これからの世界は今と少し違って見えると思う。
-Pomp-
OffTheChainジャパン
翻訳者ペンネーム:Decryptor