デジタル企業の台頭
最も一般的な企業の法的体制は従業員、もしくは資産の地理的な所在地に大きく影響を受ける。これらの判断は取引の相手、納税義務、そして規制の枠組みを踏まえてなされている。例えば、デラウェア州のCコーポレーション(企業の一形態)がアメリカで最も一般的なのは、よく理解された判例と、その体制の下、デラウェア州で確立した、pro-business(既存の企業をサポートするという意味で、市場の競争を活性化させるという意味のpro-marketと対比的に使われる)なアプローチによるのである。また、納税対策に重点を置いている企業家に目を向けてみると、たいていの場合、彼らはケイマン諸島に拠点を置いているだろう。
これから先、特定の法的義務への対策はより複雑になっていくだろう。特に、裁判管轄にとらわれない「デジタル企業」を立ち上げようとする企業家は増えていくだろう。そのような企業は法的にいずれの国にも属さず、デジタルの世界にのみ存在するのである。
これは以下とともに達成され得る
ブロックチェーン上の資本政策表(cap table):資本政策表は誰が何を所持しているか、ということを表すもので、企業の株や株価は伝統的に資本政策表で管理されてきた。ブロックチェーンを使うとこれがやりやすくなる。特に、より高いレベルの透明性とリアルタイムの情報が必要な場合はなおさらブロックチェーンの方が有利である。
デジタル会計:企業が暗号通貨のみを収入として受け入れ、暗号通貨で従業員に給料を支払うようにすれば、会計を含む全ての財務にかかる情報の処理はブロックチェーン上で簡単に済ますことができる。
自動化されたガバナンス:ほとんどの企業は、彼ら、もしくは彼らに協力している者が合意した内容を実行しなかった場合、訴訟問題に発展し、ある裁判管轄の法的枠組みを最大限有効活用しなければならない。事業に際して、スマート・コントラクトを導入することで、訴訟問題を大きく減らすことができる。スマート・コントラクトは、特定の条件が満たされる限り、いずれかの関係者が翻意するしないに関わらず、既成の合意の実行を強制するものである。
私は、デジタル企業の利点はとても魅力的だと思う。この体制の出現は、分散型、あるいは遠く離れたチーム間の連携の増加と時を同じくするだろう。従業員が様々な国に本拠地を置くことで、国境を越えた支払いにかかる多くの障害が生まれるが、デジタル法人という形式を取り入れることで、企業家は単独の通貨を用いて、ごく短い決済時間で全ての従業員に支払いをすることができるようになる。
持株所有権と会計、そしてガバナンスにかかる摩擦の減少はこれから2,30年の間、組織の構造を再構築することになるかもしれない大きな進歩の一つの例である。これは大胆で誇張だらけのように聞こえるかもしれないが、よく聞いてほしい。大部分のこのような進歩を引っ張るトレンドが水面下で動いているのだ。
企業はこれまで一つの国を起点にし、市場に進出し、それから国際的に展開することを目論んできた。今では、インターネットの存在により、企業が立ち上げられたらすぐにグローバル市場に進出している。次のフェイスブック、Airbnb、ウーバー、あるいはグーグルは国ごとに展開していくのではなく、一日目からグローバル企業として立ち上げられるだろう。
このように、企業にとって国境の重要性が低下することで、裁判管轄にとらわれないことを望むデジタル企業の役に立つ法的体制を確保することの重要性は高まる。いつも通り、この転換は一夜のうちには起きないものであり、たくさんの実験といくつかの予測された失敗を通して、時間をかけて、企業家と彼らの法務担当のチームが一般に普及するモデルを見つけることになるだろう。
最近、私は、特定の体制や仕組みを信頼するということはあまりないが、未来のデジタル企業の台頭についての信頼のレベルは上がり続けている。このような転換を形作るインフラ整備の機会はこれから先の20年に渡って数十億ドルの利益を生む機会となるはずである。
-Pomp-
OffTheChainジャパン
翻訳者ペンネーム:Decryptor