アルゼンチン国民は米ドルを求める
日曜日にアルゼンチンで行われた予備選挙の予想外の結果を受けて、昨日、アルゼンチンのペソと証券市場が大きく暴落した。アルゼンチンペソは一時USドルに対して30%以上急落し、過去最低を記録した。その後は少し持ち直し、月曜日の取引終了時の下落率はおよそ15%だった。
関連して、アルゼンチンの証券市場も大きく下落した。市場全体の下落率では25%ほどだったが、いくつかの証券は50%以上下落した。BBC南米ビジネス担当記者のダニエル・ガラス(Daniel Gallas)によると:
”月曜日には、アルゼンチン最大級の企業の市場価値が大幅に下落したことで、アルゼンチンの主要指数である「Mervalインデックス」は31%下落して取引を終了した。セメント製造業 者のロマ・ネグラ(Loma Negra)は最も大きく影響された企業のうちの一つで、その株価はおよそ55%下落した。金融サービス業者のガリシア・ファイナンシャル(Galicia Financial) の株価も46%下落した。”
端的に言って、アルゼンチンは危機に瀕している。不安定な政治に加えて、ペソ/ドルはペソ安に傾き、さらには最重要の企業が困難に面している。もしあなたがアルゼンチン国民であったなら、この狂気に対して自衛の策を講じようとするのは自然なことであろう。
そしてここから、重要な、しかし同時に微妙な主張の説明をさせていただきたい。どの国の国民も、その国の通貨、そして経済が崩れる時、国外に逃亡したいと思うものである。ここで問題なのは彼らが実際にそれを行動に移すか否かではなく、国民が資産をどのように使うかである。
ここが話の妙なのだ。この記事を読んでいる人のほとんどは、私が「アルゼンチンの国民がビットコインを買うぞ!!!」と大きく主張すると思うだろう。しかし、それは必ずしも正しくない。実際には私は、国民の大多数は資産の価値を下げないように保つ目的で、ビットコインを購入することはないだろうと考えている。代わりに、国民の大多数は「最も有名で、よく理解されている資金の逃避先」 - つまり、USドル - を求めるだろう。
USドルの潜在的な短所に関わらず、USドルはアルゼンチンペソやアルゼンチンの証券市場と比べると充分に安全である。USドルはよく理解されているし、一般に入手しやすいし、さらにはアメリカ合衆国の通貨であることによる安心感もある。こういう風に考えているのは私だけではないが。
以上より、二つのトレンドに注意を払うべきだと考えられる。
1.資本規制
アルゼンチン国民はこの混沌に対するリスクヘッジとして、USドルを求め続けるだろう。しかし、以下のいずれかの条件を満たす資本規制が施行されれば、状況は変化するかもしれない。(a)国民のUSドル購入を制限する場合。(b)伝統的な銀行口座でUSドルが差し押さえられるリスクを増加させる場合。(c)USドルを購入する際の物理的なリスクを増加(闇市場や、面と向かっての売買が必要となる場合など)させる場合。これらのうち一つでも条件が満たされた場合、無検閲かつ差し押さえ不可というデジタル通貨に長所により、ビットコインの需要は増すかもしれない。
2.デジタル化されたUSドルの需要
現在、テザー、USDC、GUSD、TrueUSDを含め、多くのデジタル通貨がUSドルにその価値を担保されている。滅多に話題に上ることはないが、国民がもし、従来の市場(USドル)と暗号通貨市場(デジタル通貨)のハイブリッドを求めだしたとしたら、それは面白い展開になるだろう。これら、デジタル化されたUSドルは長所と短所を持つが、これはまたいずれ話すことにする。いずれにせよ、危機的な国々からの「デジタル化されたUSドルの需要」に私は注目している。
アルゼンチンの現況は不幸なことだ。この状況のせいで苦しんでいる人や家庭がある。彼らは富を失い、彼らの収入は落ち込み、彼らの生活費は高騰し、つまり、彼らの生活は、改善するのではなく悪化している。本当に悲しい状況だ。
このことは、経済の落ち込みは喜ぶべきものではないのだということを、私たちに思い出させてくれもする。経済が落ち込むと多くの、本当に多くの人が苦しむのだ。投資家として、私たちの仕事は入手可能な情報を集め、何が起きるかを予測することだ。私たちの仕事はブル・マーケット、ベアー・マーケットにおいて収入を得ることである。それは私たちが、投資家としての仕事を優先して人間性を失わなければならないということではない。
私はアルゼンチンの発展を願ってやまない。同時に、私たちは、私たちの資本金の良い管理者であり続け、彼らの資産を増やすことに努める。皆さんが良い一週間を過ごしていることを願う。
-Pomp-
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