大手に意見を求めてはならない

私のパートナーの一人は、好んでこういうことを言う。「大手にディスラプションについて意見を求めてはいけない」と。この言葉は覚えやすいだけでなく、正しい。

 最近、なぜ大手に意見を求めてはいけないかということを思い出させた大手企業は、国際銀行間通信協会(SWIFTとしての方がよく知られているだろうか)だろう。銀行間取引決済ネットワークのある代表は最近、ビットコインや暗号通貨について質問を受けた。その回答は期待を裏切らなかった。

 「仮想通貨の価値はヨーヨーのように下がっていく。仮想通貨は無価値で不安定だ。そして仮に暗号通貨を利用する企業が暗号通貨を安定化させたとしても、結局は通貨バスケット(*通貨の集合:これに対してある通貨の価値を相対的に測るもの)でしかない。」

 彼らは過去10年の間ビットコインが最も成功している資産であることを忘れているに違いない。それとも、去年、ビットコインのオンチェーンの年間取引量がVenmo, Apple Pay, Paypalを超えていたことを見逃しているのか。

 代表は暗号通貨について不誠実なところがあるように見えたが、しかし、自覚はあるようだった。代表はSWIFTのシステムの弱点の一つについてこう話した。

 「正午を過ぎて、オーストラリアから中国に、SWIFTを通じて支払いを送ると、取引開始時間の違いのせいで12時間の遅れが生じてしまう。」

 今日の、グローバルでデジタルな、”Always-on(*オールウェイズオン)”の世界において、主要な銀行間決済ネットワークが24時間、毎日、年中無休で動いていないというのはかなりクレイジーなことだ。実際、多くの地域において、取引の送信にあたって、同日の決済が必要な場合、顧客には毎朝3, 4時間ほどの時間的余裕しかないのである。

 言うまでもなくビットコインのネットワークは年中無休で動いているし、世界中全ての国で有効であるし、サービスが中断されることもない。しかしこれよりも更に面白いのは、ビットコインのネットワークは、SWIFTのネットワークよりも物質的に大きいということだ。

 ビットコインのネットワークは約10万個のノードがシステムを運営しているが、それに対して、SWIFTは約11,000社の銀行(ネットワーク上のノードと同じように考えてほしい)をサポートしている。ということは、ビットコインのノードネットワークはSWIFTと比べてほぼ10倍の規模を持つということになる。

 インターネット上の、緩い協力関係にある有志が従来の銀行と比べてより速く、利用しやすい金銭取引ネットワークを構築するのに10年がかかった。もし私たちが大手の意見を常に聞き続けていたら、イノベーションは起こり得ない。

 ありがたいことに、真のイノベーターは大手の許可を待ったりはしないものである。

-Pomp-

OffTheChainジャパン

翻訳者ペンネーム:Decryptor